研究課題
基盤研究(B)
本研究は微生物のエンドグリコシダーゼの糖転移活性を活用して、さまざまな生理活性複合糖質の組換え型エンドグリコシダーゼの大腸菌による大量発現:糸状菌Mucor hiemalisのエンド-β-N-アセチルグルコサミニダーゼ(Endo-M)の遺伝子を大腸菌に導入し、IPTGによる発現誘導を行うことなく、20℃にて長時間培養することにより本酵素を多量発現させることに成功した。2.部位特異的変異により糖転移活性を向上させた変異酵素の取得:Endo-Mの活性中心付近の構成アミノ酸である217番目のTyr残基をPheに置換した変異酵素Y217Fが高い糖転移活性を有することを見出した。3.Endo-Mのグライコシンターゼ化:Endo-Mの175番目のAsn残基をAlaに置換した変異酵素N175Aを取得し、本変異酵素がN-結合型糖鎖に対する加水分解と糖転移活性を失っていたが、反応中間体であるオキサゾリン構造を有する糖鎖を供与体として糖転移反応を触媒することを見出した。反応生成物は加水分解されずに生成し続け、本変異酵素がグライコシンターゼ様に機能することが示された。N175Aを用いて抗HIV活性を有する糖ペプチドを極めて高い収率で酵素合成した。4.エンド-α-N-アセチルガラクトサミニダーゼの糖転移活性によるムチン型糖鎖のペプチドへの付加:ビフィズス菌の本酵素の遺伝子を大腸菌に導入して得られた組換え型酵素を用い、ガラクトシルβ1-3N-アセチルガラクトサミンα1-pNPを糖鎖供与体として、糖転移活性を検討した結果、SerやThrのみならず、ムチンの部分ペプチドMUClaにもムチン糖鎖を転移付加することを見出した。この結果は人工ムチン合成の可能性を示唆するものである。
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