研究課題/領域番号 |
18380060
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
大島 敏久 九州大学, 農学研究院, 教授 (10093345)
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研究分担者 |
櫻庭 春彦 徳島大学, 大学院・ソシオテクノサイエンス部, 准教授 (90205823)
藪谷 智規 徳島大学, 大学院・ソシオテクノサイエンス部, 准教授 (80335786)
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キーワード | 色素依存性脱水素酵素 / FAD酵素 / 超好熱菌 / D-乳酸脱水素酵素 / Sulfolobus tokodaii / 電気化学的バイオセンサー / D-プロリン脱水素酵素 / D-プロリンセンサー |
研究概要 |
アミノ酸や有機酸などの電子供与体と色素のジクロロフェノールインドフェノール(DCIP)などの間の酸化還元反応を触媒する一群の色素依存性脱水素酵素は、一般に安定性が低く、機能開発が遅れているが、バイオセンサーなどへの新規応用が期待できる。本研究では、高い安定性が期待できる超好熱菌や高度好熱菌由来の酵素を探索し、機能と構造の解析、及び応用開発を進めた。本年度の成果として、超好熱菌Sulfolobus tokodaiiにDCIP依存性のD-乳酸脱水素酵素(D-LDH)を見出し、細胞抽出液からクロマトグラフィを用いて、高度に精製することに成功した。この酵素の補酵素としてHPLCによりFADを同定した。この酵素は、高い耐熱性(80℃まで安定)、広範囲のpH領域(pH6.5〜10)での高い安定性、D-乳酸に高い特異性などの特徴を明らかにし、D-乳酸測定用バイオセンサー素子として有用性が高いことを示した。この酵素のN末端アミノ酸の25残基の配列を決定し、ゲノム情報からこの酵素遺伝子としてSTO649遺伝子を見出した。この遺伝子を大腸菌でクローニングし、大腸菌で発現に成功し、発現酵素の組換え体大腸菌からの簡便な精製法を確立した。この酵素の全アミノ酸配列を決定し、相同性検索から、Archeoglobus fulgidusのグリコール酸酸化酵素と最大の相同性(39%)を示し、同じ菌のD-乳酸脱水素酵素とは、より低い相同性(32%)を示した。これにより、本酵素が新規D-LDHであることが明らかになった(成果はJBBに投稿、掲載予定)。次に、既に機能を明らかにしている膜結合性のD-プロリン脱水素酵素の応用として、本酵素を用いるD-アミノ酸測定用の電気化学的バイオセンサーの開発に成功した。このセンサーは、膜結合性の脱水素酵素を素子として、D-アミノ酸を電気化学的に測定できる点で、最初の例であり、高い新規性を有する。この成果については、現在学術論文に投稿し、採択に向け再審査中である。
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