研究課題
平成18年度はOXTR-Venusノックインマウスとコンディショナル型Oxtr-/-マウス(Oxtr・fx/-)の作製を行い、両者共に作製を確認した。OXTR-Venusノックインマウスについては、そのノックイン領域のPGK-Neoカセットを、CAG-Creマウスとの掛け合わせで除去することに成功し、OXYR locusのOXTR遺伝子発現領域のみに依り制御されていると考えられるVenus発現マウスを完成した。現在そのVenus遺伝子の脳内での詳しい発現profileを作成中であるが、既に過去に抗体を使って検出されたとされた領域での発現が確認できないこと、逆に過去にその発現が報告されていなかった場所での発現確認など、この下垂体後葉ホルモン系の研究領域に大きなインパクトを与えるであろう結果が得られつつある(投稿準備中)。一方、OXTR-/-マウスで見られた肥満と低温被爆時に見られる急激な体温低下、即ちエネルギー代謝異常と体温調節機能異常の解析については、ヒトPWS症候群や自閉症の重要なモデル動物研究となる可能性をふまえつつ研究を進めた。特に、寒冷被爆時の低体温症についてはその脳内責任領域の確定と、従来知られていた温度制御機構との相互関係を明らかにする解析を続行している。また関連研究としてPWS症候群のモデル病態マウスであるNecdin遺伝子欠損マウスを大阪大学の吉川教授より入手し、このマウスでのオキシトシン系、オキシトシン受容体系の遺伝子発現異常を明らかにする研究を開始した。更に、受容体のOXTR遺伝子欠損のみでなく、ホルモンリガンドのOXT遺伝欠損マウスでも、弱いながら低温被爆時の明らかな体温制御機能の低下と、OXTR遺伝子欠損マウスで見られた肥満と同様の弱い肥満傾向の発症を確認した。このため、まずOXT遺伝欠損マウスを5℃に被爆した際の体温降下を調べ、その際の脳内低温感受性領域(主に視床下部PVN領域)の限られたOXT産生細胞でその活性化を示すc-fos遺伝子産物の増加・活性化が確認された(投稿中)。
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Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry (印刷中)
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