研究課題
2年計画の本研究課題について,本年度は、必須元素カルシウムの細胞質濃度調節を支える液胞膜のCa^<2+>/H^+交換輸送体(CAX)とCa^<2+>結合タンパク質、微量必須元素である亜鉛を液胞に輸送する分子(MTP1)、ならびにそれらをエネルギー的に駆動するH^+-ピロホスファターゼ(H^+-PPase)の生理機能と構造、発現調節を解析した結果、興味ある知見を得た。(1)複数種のCAXの中でもCAX1aが量的、機能的に主要な液胞膜分子種であること、そのCAX1a遺伝子は高濃度Ca^<2+>環境で誘導され、Ca^<2+>蓄積能の高い成熟細胞で高発現することを見出し、過剰Ca^<2+>状況への適応に関与していることを解明した。(2)液胞中に存在する新規Ca^<2+>結合タンパク質(RVCaB)を解析し、長い不規則構造とポリプロリンタイプIIと呼ばれる特異な構造を含み、これが多量のCa^<2+>を結合する役割を担っていることを明らかにした。(3)液胞膜亜鉛輸送体(MTP1)は、その遺伝子欠失株が過剰亜鉛障害(液胞膨潤と細胞死)を示すことから、亜鉛の液胞への蓄積と過剰な亜鉛を細胞質から隔離する機能をもつと推定され、今年度はMTP1が液胞膜のプロトンポンプが形成するpH勾配を利用するZn^<2+>/H^+交換輸送体であることを生化学的に証明し、種々の機能ドメインの解析を進めた。(4)液胞膜H^+-PPaseについては、その遺伝子の欠失により生育不良、液胞膜H^+-ATPaseの活性化などが生ずることを見出し、H^+-PPaseの生理機能と液胞膜H^+-ATPaseとの相互補完性など、新たな知見を得た。
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