研究概要 |
1)油脂貯蔵制御に関わるASML1/WRI1の標的遺伝子と生理機能 種子登熟過程で発現するAP2型転写活性化因子ASML1/WRI1は、プラスチド内での脂肪酸合成に関与する遺伝子群に直接結合して活性化することを明らかにし、ASML1/WRI1が結合するコンセンサスDNA配列を決定した。種子以外の栄養組織での脂肪酸合成系遺伝子の発現にはASML1/WRI1ファミリーの他の因子が関与すると推定された。 2)CCTドメイン因子ASML2の作用機構 酵母Two Hybrid系を使い、ASML2のCCTドメインは種子成熟の制御因子ABI3や種子成熟プログラム抑制因子HSI2のB3ドメインと相互作用することを見出したが、種子登熟過程でのASML2の発現は低い。ASML2ファミリーのASML2-L1の発現がABI3,FUS3,LEC2と同様に種子登熟期に強く、ASML2-L1はASML2と同様の遺伝子発現活性化を示し、ABI3やHSI2と相互作用した。 3)HSI2・HSL1による種子成熟プログラムの抑制 B3-EAR転写抑制因子HSI2とそれに類似したHSL1の二重遺伝子破壊株(KK変異株)では、種子発芽後に胚発生や油脂生産などの種子成熟プログラム遺伝子の強い発現が見られ、HSI2・HSL1は種子発芽後に種子成熟プログラムが作動するのを抑制して栄養生長へと転換する上で必須であることを明らかにした。hsl1ヌル変異とhsi2ナンセンス変異の二重変異株は致死とならず、HSI2のC末端EAR転写抑制モチーフは種子成熟プログラム抑制に必須でない。hsi2株でHSL1 RNAiをDEX誘導発現して任意にKK変異株表現型を誘導できるようになり、この系を用いてHSL1による発現抑制の標的となる遺伝子の候補を同定した。
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