研究概要 |
1.可動ループの検出法の閉発 β-アミラーゼおよびアルギン酸リアーゼA1-IIIの可動ループについて分子動力学計算を行うための準備を行った。アルギン酸リアーゼについては基質複合体の高分解能でのデータが利用できないので、結晶の凍結条件を検討し、データの収集を放射光施設で試みた。 2.β-アミラーゼのフレキシブルループの解析 β-アミラーゼのフレキシブルループ上の変異体、D101N, D101E, D101A, V99A, V99I, V99D, V99Nの機能解析とマルトース複合体の高分解能X線回折データの収集を行った。Asp101はループ上で最も重要な残基であり、サブサイト-2のグルコース残基のO2と水素結合を形成している。その変異体はいずれも活性が2%以下に低下するが、構造解析の結果からその原因は変異体によって異なることが判明した。開いたループと閉じたループのマルトース濃度依存性を調べた結果、Asn101ではループが常に開いた状態固定され、マルトースが結合できないのに対し、Glu101ではGlu101の側鎖がマルトースと新たな水素結合を形成するため低マルトース濃度からループが閉じた状態にあるが、Glu残基との立体障害によりマルトースが正常に結合できない状態にあった。以上のことからD101はループ上で基質と正しい水素結合をとるよう最適化されていることが明らかになった。 3.アルギン酸リアーゼのリッドループの解析 アルギン酸リアーゼA1-IIIのリッドループ上の変異体Y68F, Y80F,およびR67Aを作製して、その酵素活性を調べた結果、Y80Fを除いて酵素活性は数パーセントまで低下していた。この結果は、これらの残基が基質との相互作用に重要であるとのX船結晶構造解析の結果とよく一致した。 4.ダイズグロブリンの可動ループの解析 プログリシニン(3量体)の結晶をグルタールアルデヒドで固定化し、そのX線回折データを行って構造を調べた結果、ループ部分の構造に変化は無かった。現在、異なる架橋試薬を用いて検討している。
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