研究概要 |
1.可動ループの検出法の開発 β-アミラーゼおよびアルギン酸リアーゼA1-IIIの可動ループについて分子動力学計算ソフトGROMACSを用いて計算した。現在、最適化パラメーターの検討中である。 2.β-アミラーゼのフレキシブルループの解析 昨年度に引き続き、β-アミラーゼのフレキシブルループ上の変異体、G96A,G96V,G97A,G97V,D101N,D101E,D101A,V99A,V99I,V99D,V99Nの機能解析とマルトース複合体の高分解能X線回折データの収集を行った。上記の変異体のうち、G97A,D101N,D101E,99I,V99D,V99Nの変異体については良質の結晶が得られたので、マルトース濃度を変化させて、各マルトース濃度で1.0〜1.4Å分解能で結晶構造の精密化を行い、フレキシブルループ、インナーループと2個のマルトースの占有率のマルトース濃度依存性を検討した。その結果、インナーループの構造変化はマルトースの結合によって生じるが、フレキシブルループの構造変化はマルトースの結合とは完全に一致しないことが明らかになった。 3.アルギン酸リアーゼのリッドループの解析 アルギン酸リアーゼA1-IIIのリッドループのヒンジに存在するMet62の変異体M62Pを作製して、変異酵素を精製した結果、精製中に変異酵素のリッドループ部分が一部消化された活性の無い酵素が得られ、その酵素の酵素的性質とX線結晶構造解析を行った。この結果、リッドループの正常な開閉が酵素活性の発現に重要であると結論した。 4.ダイズグロブリンの可動ループの解析 前年度に引き続きプログリシニン(3量体)および同様のループを持つ種子グロブリンの結晶を固定化しとそのX線構造解析について検討した。
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