研究概要 |
真核及び原核生物由来スクアレン環化酵素の触媒機構の比較研究のため、原核と真核生物由来の環化酵素の研究を別々に行った。 (1)原核生物由来のスクアレン環化酵素(SHC) 1.SHCの触媒機構としてカチオン/π-相互作用が指摘されていたが、実証されてなかった。非天然型アミノ酸をjn vivo(O-methylTyr)及びjn vitro(FluoroPhe)での導入法を確立した。速度論を行い、K_n, K_<cat>を求めた。FluoroPheの変異酵素では、Kmが変化せず、導入フッ素の数に従ってkcatが大きく低下した。また、cation-πbinding energyに従ってプロットすると良好な直線関係が得られた。この事実は、トリテルペンの環化反応ではカチオン/π-相互作用が重要な触媒機構として働いていることを明確に示している。本研究成果をJ.Am.Chem.Soc.128,13184-13194(2006).に発表した。 2.2,3-スクアレンジオール及び2,3:22,23-ジオキシドスクアレンをSHCと酵素反応を行ったところ、エポキシダンマランが高収量で生成した。この事は、反応途中で6/6/6/5-fused tetracycleのカチオンが生成している事、かつSHCを使って天然物のone-pot合成が可能であることを実証した。Org.Biomol.Chem.5,792-801(2007)に発表した。 (2)真核生物(イネ)由来のスクアレン環化酵素(OSC) ホモロジー検索から、6個の遺伝子が候補にあがった。それぞれの遺伝子をpYES2に連結し、OSC欠損株の酵母に形質転換した。培養した酵母の菌体から脂質成分を抽出して、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより、この道伝子がコードしている産物を単離した。現在2つの遺伝子産物の同定に成功した。
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