本研究では、これまでに単離されていない外生菌根菌(ECM菌)と木本植物との共生における宿主植物側のシグナル物質の単離・同定を目的とする。ECM菌は宿主植物の根の近傍で菌糸を細かく分岐させる。これはECM菌の宿主認識反応であり、根から分泌される物質により誘導されると考えられている。ECM菌とAM菌の両方と共生できるポプラやユーカリなどを水耕栽培して得られる根分泌物を出発材料し、これら植物と共生するECM菌であるコツブタケの分岐菌糸生成を指標とするアッセイ系を新たに構築し、植物から発せられるECM菌へのシグナル物質の精製・単離を行う。ユーカリやポプラに着生するECM菌に対する共生シグナル物質の同定にほぼ見通しがついた段階で、ECM菌としか共生しない木本植物であるマツの生産するマツタケに対する共生シグナル物質の単離・同定へと展開する。
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