| 研究概要 |
本研究では、食事形態として、非メチレン介在型脂肪酸を含む油脂を食することにより脂肪肝を予防することを実験動物と培養細胞を用いて証明することを行った。まず非メチレン介在型脂肪酸であるシアドン酸(c5,c11,c14-eicosatrienoic acid)とピノレン酸(c5,c9,c12-octadecatrienoic acid)をカヤ油および松の実油からそれぞれ単離することに成功した。これら非メチレン介在型脂肪酸の抗脂肪肝作用を、培養肝細胞としてヒト由来の肝癌細胞を用いて評価した。次いで、シアドン酸を構成脂肪酸として10%含むカヤ油を食餌に添加して肥満モデルラットであるOLETFラットを飼育した結果、血清および肝臓の中性脂肪とコレステロールの上昇が抑えられた。また、脂肪酸合成系酵素活性の低下と脂肪酸酸化酵素活性の上昇が観察された。またアルコール性脂肪肝モデルとして、5%アルコール食にカヤ油を加えてラットを飼育したところ、血清のトリグリセリドが有意に低くなると共に、アルコール性脂肪肝の指標であるGPTおよびGOT活性がコーン油食群や大豆油食群よりもカヤ油食群で低い値を示した。そこでカヤ油から単離したシアドン酸をコーン油に5%および10%濃度で添加した食餌でラットを飼育したところ、シアドン酸添加食群で濃度依存的に血清コレステロールとトリグリセリド、および肝臓トリグリセリドが有意に低値を示した。以上より、非メチレン介在型脂肪酸(シアドン酸)には脂質代謝を改善して脂肪肝を予防する作用のあることが確認された。
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