研究課題
ラットに5%から30%のマイルドなカロリー制限食を一週間ないし一ヶ月摂取させ、遺伝子発現プロファイルを対照と比較した。脂質代謝、糖代謝など多くの経路の遺伝子が、カロリー制限量に依存した変化を示したが、一方で短期や低レベルのカロリー制限で既に十分な応答を示す遺伝子も多く見られた。特定のアミノ酸が欠乏したときの細胞の応答を網羅的に解析する目的で、本年度は3種の分枝アミノ酸についてHepG2を欠乏培地で処理して変化を比較した。3種のアミノ酸への応答は比較的一定していたが、PEPCK遺伝子等いくつかについては各アミノ酸間で違いが認められた。食品機能や安全性解析においてDNAマイクロアレイをより有効に活用することを意図して、特定の成分をラットに単回投与して短時間後の応答を解析することにより、短時間での機能性・安全性解析が可能であるかを検討した。本年度はまずカルニチンの作用の検討を行ったところ、投与後3時間および9時間で炎症低下を示唆する一連の応答が認められ、カルニチンの免疫調節作用として知られている応答の一部が再現された。一方、既に報告のある毒物投与への応答のプロファイルとの比較を行ったが、同じ方向の変化は見られず、安全性の確認という面でも有効であると考えられた。上記のトランスクリプトーム解析に加えて、本年度は食品分野におけるプロテオミクス解析を有効に進めることも計画し、無タンパク質摂取のような条件に応答するタンパク質を肝臓で数多く検出することに成功した。ニュートリゲノミクスデータベースの改良を進め、文献情報に関しては全文検索機能などを、トランスクリプトームデータについては、データビューワー機能やKEGGパスウェイへのリンクアウトなどの機能を付加した。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (2件)
Biosci. Biotechnol. Biochem. 70
ページ: 1464-1470
J. Oleo Sci. 55
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