研究概要 |
ニュートリゲノミクスデータベースをさらに改良し,インターフェースの改良,遺伝子の参照を簡便化,パスウェイ参照機能の増強,薬物投与などの参照データとの比較の簡便化等を行った。ラットにカゼイン食,グルテン食,制限アミノ酸を補足したグルテン食,無タンパク質食等を一週間摂取させ,皮膚での遺伝子発現プロファイルを得た。この際のマイクロアレイデータの最適な正規化手法について4種類の解法を比較検討したところ,qFARMsが食餌タンパク質の影響を最も明確にできることを明らかにした。食餌タンパク質悪化に対する興味深い応答として,皮膚のグルタチオン代謝系遺伝子が大きな影響を受けていることがわかり,実際に還元型グルタチオン量が減少していることも明らかにした。PGE2等の合成促進も認められ,こうした変化はタンパク質栄養悪化における炎症惹起の原因を成していることが示唆された。スフィンゴ脂質合成系も無タンパク質食やグルテン食では低下しており,皮膚のバリア機能低下に関与していると考えられた。得られた発現プロファイルはデータベースの参照データとして有効活用を図った。一方非必須アミノ酸をラットに投与し,遺伝子発現プロファイルレベルでの応答の大きさを比較したところ,皮膚は肝臓や筋肉に比べて影響を受けやすい組織であることが明らかとなった。マイルドなカロリー制限に対するプロテオミクス応答の解析を進め,2次元電気泳動による方法と他の手法の比較検討を行った。
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