研究課題/領域番号 |
18380078
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
内田 浩二 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 准教授 (40203533)
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研究分担者 |
小鹿 一 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授 (50152492)
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キーワード | 神経成長因子 / ケミカルバイオロジー / 受容体活性化 / チロシンホスファターゼ / イソチオシアネート / 機能性食品成分 / 神経細胞 / ポリフェノール |
研究概要 |
環境有害成分、機能性食品成分、さらには脂質代謝物など、身の回りには内因性および外因性のレドックス感受性(活性化状態にある)分子が数多く存在する。それらの中には、ある種の病態において異常な生成・蓄積を示すものもあれば、生活習慣病に対して予防効果を示す機能性食品因子として積極的な摂取を促されるものもあり、我々の健康や寿命と深く関わっている。申請者の研究グループでは、受容体刺激に伴うシグナル伝達に影響を与える内因性および外因性脂溶性物質の研究を行ってきており、それらの活性物質の多くがレドックス感受性であることが判明している。最近の研究から、こうした脂溶性生理活性物質の中に神経成長因子(NGF)の作用を増強する化合物が見いだされてきている。本研究では、生理生体調節機能を有する生理活性物質に着目し、神経成長因子(NGF)受容体シグナリング活性化の分子機構に関し、「標的タンパク質の同定」および「分子機構の全容解明」を目標とした"ケミカルバイオロジー"研究を行うことを主眼としている。 前年度までに、NGF受容体TrkAの脱リン酸化に関わるプロテインホスファターゼとしてPTP1Bを同定した。本年度は、さらにTrkAとPTP1Bのタンパク質間相互作用についてサブストレートトラッピング法を用いて詳細に解析し、PTP1BがTrkAの基質であることを直接的に証明した。また、2次元電気泳動法などを用い、NGF作用増強因子のPTP1Bへの作用機構を解析した結果、PTP1Bの酸化的修飾を介した活性低下作用が主要因であることが予想された。それを裏付ける証拠としてPTP1Bにおける酸化修飾が確認されたほか、N-アセチルシステインなどの抗酸化剤投与によりPTP1B活性低下が有意に抑制された。
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