研究課題/領域番号 |
18380081
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
吉川 正明 京都大学, 農学研究科, 教授 (50026572)
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研究分担者 |
大日向 耕作 京都大学, 農学研究科, 助教授 (00361147)
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キーワード | 大豆 / ファゴサイトシス / soymetide / 抗脱毛作用 / 育毛促進作用 / ケラチノサイト / ラクトアルブミン / 卵白アルブミン |
研究概要 |
以前、大豆β-conglycinin α'サブユニットから、トリプシンおよびsubtilisin消化により派生するファゴサイトシス促進ペプチドとして得られたMITL(soymetide-4)は経口投与(300mg/kg)により抗がん剤etoposideによる哺乳ラットの脱毛を阻止することを見出していたが、同ペプチドは10mg/kgの経口投与により剃毛マウスの育毛を促進することを新たに見出した。一方、大豆glycinin A5-A4サブユニットからトリプシンおよびsubtilisin消化により派生する類縁ペプチドMIIIもMITL同様、ファゴサイトシス促進作用、抗脱毛作用、および育毛促進作用を示すことを見出し、soymetide B-4と命名した。両ペプチドはまた、10^<-6>M以上で、マウス皮膚ケラチノサイトの増殖を促進する作用を示した。soymetide B-4のファゴサイトシス促進活性はsoymetide-4より約3倍強力であったが、抗脱毛および育毛促進活性においては両ペプチドはほぼ同等の活性を示した。以前、α-ラクトアルブミンのキモトリプシン消化によって派生するファゴサイトシス促進ペプチドGLFが腹腔内投与(30mg/kg)、および経口投与(300mg/kgにより抗がん剤etoposideによる哺乳ラットの脱毛を阻止することを見出していたが、卵白アルブミンのペプシン消化によって派生する類縁ペプチドGLWはGLFの1/3の用量で、ほぼ同様の作用を示した。GLWの抗脱毛作用はヒスタミンH1およびH2レセプターに対するアンタゴニストであるpyrilamineおよびcimetidine、シクロオキシゲナーゼ阻害剤であるindomethacinおよびaspirinのいずれによっても阻害されることから、ヒスタミンおよびプロスタグランジンを介していることが示唆された。なお、剃毛マウスに対する経口投与(10mg/kgで、GLFは育毛促進作用を全く示さなかったのに対して、GLWは育毛促進傾向を示した。一方、FPRL1アゴニストペプチドであるMMK-1は抗がん剤による脱毛を阻止する活性を示し、その作用はpyrilamineおよびcimetidineによりブロックされることを以前報告したが、その下流の作用機構を検討し、IL-1およびNF-κBが関与することを見出した。
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