研究概要 |
花粉症患者10数名を用いて、温州みかんパウダーの花粉症緩和効果について検証した。In vitro試験として、花粉飛散の前に採血し、末梢血単核球画分を分離した。これを花粉抗原とともに培養し、産生されるサイトカインを磁気ビーズサスペンションアレイシステムにより測定した。全血10mLを用いて、GM-CSF,IFN-γ,IL-2,-4,-5,-10,-12,-13,およびTNF-α濃度を測定することが可能になった。 花粉刺激により、INF-γ濃度が低下した一方、TNF-αやIL-4濃度が上昇した。培養液に温州みかんパウダーを共存させておくと、これらのサイトカインが、花粉刺激前の値に近づいた。従って、温州みかんには、Th1/Th2サイトカインバランスを改善すること、および、TNF-α産生を抑制する活性のあることがin vitroで確認された。 前述の採血後、温州みかんパウダーを2ヶ月間患者に摂取してもらい、症状の推移を観察するとともに、摂取後再び採血を行い、同様のin vitro試験に供した。2006年は花粉飛散が少なかったこともあるが、パウダーの摂取により患者は概ね症状が緩和された。摂取後の末梢血単核球の解析を現在行っている。 平行して、抗アレルギー作用を見出しているフラボン類の摂食実験を行い、摂食後回収した脾臓細胞からのサイトカイン産生をサイトカインアレイにより測定した。その結果、Th2サイトカインであるIL-4およびIL-13の産生能が低下していることを見出した。また、末梢血より分離した好塩基球に対して、クリシンおよびアピゲニンを作用させ、高親和性IgE受容体FcεRI発現に対する影響を検討し、FcεRIの構成鎖であるa鎖のmRNA発現を強力に抑制することを明らかにした。この結果は、ヒト好塩基球様細胞株KU812を用いて得られていた結果と一致した。
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