花粉症患者20数名を用いて、食品素材の花粉症緩和効果について検証した。In vitro試験として、全血より分離した末梢血単核球画分を花粉抗原とともに培養し、産生されるサイトカインをサスペンションアレイシステムにより測定した。花粉刺激によりIL-17産生が亢進することを、今年度新たに見出したので、今後マーカーとしての有用性について検証を行うこととした。 前年度検討した温州みかんパウダーに含まれる抗アレルギー成分であるヘスペリジン(配糖体)と、そのアグリコンであるヘスペレチンの腸管での吸収性についてCaco-2細胞を用いて検討した。その結果、アグリコンの方が配糖体よりも圧倒的によく吸収されることを明らかにした。今後、配糖体からアグリコンへの変換にかかわる腸内細菌について、解明することとした。 ヒト成熟B細胞株DND39を用いて、IgE産生に必須である重鎖胚型転写物(εGT)の発現およびSTAT6のリン酸化に及ぼすフラボン類の影響を検討した。その結果、クリシンおよびアピゲニンはIL-4誘導性のεGT発現およびSTAT6のリン酸化を抑制した。また、この抑制作用にPPARγが関与しないことを明らかにした。 アトピー性皮膚炎を発症させたNC/Ngaマウスを用いて、フラボン類の摂食実験を行い、アトピー性皮膚炎緩和効果について検討した。その結果、アトピー性皮膚炎症状が緩和され、アピゲニン摂食群において血中IgEレベルが有意に低下した。
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