研究課題
基盤研究(B)
カルパインは細胞質内に存在し、Ca^<2+>により活性を制御されるプロテアーゼである。細胞内タンパク質に直接作用し、これらの活性・構造を変換・制御するモジュレータ・プロテアーゼである。哺乳類では15種類の遺伝子が同定され、スーパーファミリーを形成する。その内のいくつかに関しては、ヒト疾患や遺伝子改変マウスの結果から、遺伝子の変異によって致死、あるいは疾患を呈することが判明している。また、他の生物でも同様で、ほぼ全ての生物の健康な状態に必須な酵素であることが明らかとなっている。ヒトでは、組織に特異的な発現の見られる組織特異的カルパインがいくつか報告されており、申請者らが発見したnCL-2/-2'やnCL-4は、胃や腸に発現が限定されるのみならず、興味深い構造をもつ選択的スプライス産物が同時に発現している。さらに最近、nCL-2/-2'が胃粘膜保護に重要な役割を持つ胃表層粘液(ピット)細胞に限局すること、膜タンパク質の逆輸送に関与するβ-COPと相互作用すること、を見出し、細胞移動や粘液分泌に重大な機能を果たすことが強く示唆された。胃腸は食品の消毒、消化、免疫など、様々な点で極めて重要であり、また、食品成分による影響を著しく、かつ即時的に受ける器官である。そのため胃酸、粘液、消化酵素の分泌をはじめ、非常に特殊化した機能を有する。これらは、胃・腸特異的カルパインの生理機能と密接に結びついていると考えられる。事実、申請者らの作出した不活性型nCL-2を野生型の代わりに発現するノックインマウスは、胃出血の傾向にあることが判明した。本研究では、さらにこのノックインマウスとプロテオーム解析を含む生化学的解析により、胃・腸特異的カルパインの酵素学的性質とその生理的意義に関して解析し、機能性食品による治療・予防法について考察し、後述した論文や学会などでこれを発表した。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (5件)
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