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2008 年度 実績報告書

シカの被食による植物の質と形態の変化が植食性昆虫の生活史と個体群動態に及ぼす影響

研究課題

研究課題/領域番号 18380090
研究機関名古屋大学

研究代表者

柴田 叡弌  名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授 (30252282)

研究分担者 佐藤 宏明  奈良女子大学, 理学部, 准教授 (20196265)
酒井 敦  奈良女子大学, 理学部, 准教授 (30235098)
日野 輝明  独立行政法人森林総合研究所, 関西支所, チーム長 (80212166)
キーワードニホンジカ / 食植性昆虫 / 生物間相互作用 / 被食防衛 / 間接作用 / ミヤコザサ / イラクサ / 光合成能力
研究概要

イラクサにおいて防御形質と考えられる刺毛密度の進化にシカの被食が淘汰圧としてどの程度重要かを明らかにすることを目標として,シカが多数生息する奈良公園およびその近接地で11箇所,シカの生息が確認されていないかあるいはこの数年でシカがみられるようになった8箇所の計19箇所においてイラクサの刺毛密度とシカの糞粒密度を調査した.これまでの研究では,極端に高い刺毛密度を有するイラクサ個体群と非常に低い刺毛密度を有するイラクサ個体群しか見つかっていなかったが,あらたに中間の密度を有するイラクサ個体群が奈良公園およびその周縁部でみつかった.これにより,刺毛密度の変異機構をさらに詳しく研究するための材料を得ることができた.
大台ヶ原における防鹿柵内でミヤコザサについて(1)生育初期に葉を部分切除する実験、および(2)週1回、接触刺激を与え続ける実験を行った結果、小型化の主たる原因は葉への傷害ではなく、物理的な接触刺激であることが示唆された。植物体サイズが最終的に決定される時期のミヤコザサの観察、および柵内外のミヤコザサの組織切片観察を行った結果、稈高、葉面積のいずれについても、植物体サイズの調節は、細胞の増殖制御によることが示唆された。また、防鹿柵外の自然群落内においてミヤコザサの稈高と被食度の関係を調べた。稈高が小さいほど食害の程度も小さいことが明らかになり、小型化は食害回避に有効であることが示された。さらに、シカから保護するとミヤコザサ地上部のバイオマスは急激に増加するが地下部(特に根)のバイオマスはほとんど増加しないことを明らかにし、大型化に伴う窒素含量の減少は、窒素の需給バランスが崩れたことによるものである可能性を強く示唆した。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Deer-proof fence prevents regeneration of Picea jezoensis var. hondoensis through seed predation by increased woodmouse populations2008

    • 著者名/発表者名
      Shibata, E., Saito, M., Tanaka, M.
    • 雑誌名

      Journal of Forest Research 13

      ページ: 89-95

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 樹種選択性、選好性樹木の分布および土地利用頻度からみた大台ヶ原におけるニホンジカによる樹木剥皮の発生2008

    • 著者名/発表者名
      釜田淳志, 安藤正規, 柴田叡弐
    • 雑誌名

      日本森林学会誌 90

      ページ: 174-181

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Application of fecal pellet group count to sika deer (Cervus nippon) population monitoring on Mt. Ohdaigahara, central Japan2008

    • 著者名/発表者名
      Goda, R, . Ando, M., Sato, H., Shibata, E.
    • 雑誌名

      Mammal Study 33

      ページ: 93-97

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Effects of bark stripping by sika deer, Cervus nippon, on wind damage to coniferous trees in subalpine forest of central Japan2008

    • 著者名/発表者名
      Shibata, E., Torazawa, Y.
    • 雑誌名

      Journal of Forest Research 13

      ページ: 296-301

    • 査読あり
  • [雑誌論文] カメラトラップ法で明らかにされた大台ヶ原の哺乳類相とその特徴2008

    • 著者名/発表者名
      福田秀志, 高山元, 井口雅史, 柴田叡弌
    • 雑誌名

      保全生態学研究 13

      ページ: 265-274

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 大台ヶ原におけるニホンジカによる針葉樹剥皮様式2008

    • 著者名/発表者名
      釜田淳志, 安藤正規, 柴田叡弌
    • 雑誌名

      日本森林学会誌 90

      ページ: 404-410

    • 査読あり
  • [学会発表] 大台ヶ原のシカ・森林・生態系2009

    • 著者名/発表者名
      柴田叡弌
    • 学会等名
      日本生態学会56回大会
    • 発表場所
      岩手県立大学
    • 年月日
      2009-03-17

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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