研究課題/領域番号 |
18380092
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
伊藤 進一郎 三重大学, 大学院・生物資源学研究科, 教授 (90092139)
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研究分担者 |
池田 武文 京都府立大学, 農学研究科, 教授 (50183158)
山田 利博 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (30332571)
福田 健二 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (30208954)
松田 陽介 三重大学, 大学院・生物資源学研究科, 助教 (30324552)
坂上 大翼 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教 (90313080)
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キーワード | ナラ類萎凋病 / Raffaelea quercivora / ミズナラ / アラカシ / 通道阻害 / 外国産ナラ類 |
研究概要 |
ブナ科13種の中で、落葉性樹種の非通水域は常緑性樹種より大きかった。また、カシワ、クリ、アベマキは感受性が高く、常緑樹のツブラジイやシラカシ、アカガシ、ツクバネガシ、イチイガシは感受性が低いと考えられた。感受性が高いと判断された樹種の道管配列はすべて環孔材であり、接線方向に道管間の距離が近いことから、接線方向に菌が蔓延しやすこと考えられる。このことが環孔材樹種の感受性が高い原因であるかもしれない。 ブナ科7樹種の中で、組織化学的観察ではクリ、アベマキの呈色反応は限定的で他の樹種とは異なる防御反応物質が蓄積しているか、反応が遅いことが考えられた。接種時期によりミズナラ、アラカシの非通水域の割合に有意差があったことから、季節により感受性に差異があることが示唆された。感受性が高いミズナラでは、アラカシよりも接線方向への菌糸の伸展が容易あるいは速く、非通水域の面積も拡大すると考えられた。さらに、アラカシでは菌糸の多くが非通水域内の限られた部位で観察されたことから、菌糸の伸展に対する樹木の抵抗性機構が存在している可能性があり、その差異が樹種間の感受性の差異に関係すると考えられる。 夏期において、常緑ブナ科3種は葉の細胞が原形質分離をおこすほどには水分を減少させないが、ブナはしおれる寸前までの水不足に陥っており、夏期の葉の部分的褐変化や落葉を引き起こす原因となっていた。 ミズナラとコナラでは木部樹液表面張力低下量が接種苗で対照苗よりもやや大きく、比較的抵抗性のアラカシでは小さいことから、木部樹液表面張力の低下程度が感受性に関与している可能性が示唆された。 外国産樹種の中では、Q. rubra、Q. robur、Q. palustrisがミズナラやコナラと同様に感受性が高いことが分かった。
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