研究分担者 |
杉本 敦子 北海道大学, 地球環境科学研究院, 教授 (50235892)
加藤 憲二 静岡大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70169499)
徳地 直子 京都大学, フィールド科学教育研究センター, 准教授 (60237071)
勝山 正則 京都大学, 大学院・農学研究科, 研究員 (40425426)
谷 誠 京都大学, 大学院・農学研究科, 教授 (00314245)
|
研究概要 |
本研究は,森林流域の水質浄化に関わる生態系機能の解明と評価手法を確立することを目的とする. 安定同位体や遺伝子情報に基づく微生物生態学的な手法など先端的な方法を用いて森林小流域における野外観測を行うため先年に設定した,3つの観測・実験流域(桐生試験流域,不動寺試験流域,十津川試験流域)に加えて,房総半島南部に位置する東京大学千葉演習林内の袋山沢試験流域にも対象流域を設定し,水質項目と森林生態系の水・物質循環の状態との因果関係を明らかにする調査を行った. 土壌中,地下水中の窒素循環の機構と,流出NO_3^-の起源推定のために,脱窒菌法を用いたNO_3^-の安定同位体比の測定を行った.この結果,袋山沢試験流域においても,地下水帯深部で顕著な脱窒が認められた.また、桐生試験地における各水文過程ごとのNO_3^-の安定同位体比情報から、土壌中での窒素の無機化のグロスレイトを推定する新たな方法を提案することができた。 溶存有機態炭素(DOC)の炭素安定同位体比の情報は,流域から流出する有機物の起源,特徴を示す重要な情報である.これを測定するために,H18年度開発した,水試料中の有機態炭素をCO_2として捕集,精製する機材(精製ライン)を用い,降水,土壌水,地下水,渓流水の各水文過程におけるDOCの炭素安定同位体比の測定を継続して行った.この結果,土壌中でのDOCの減少過程における同位体比の変動に特徴的なパターンが見られ,質的変質が見られることが明らかになった.この成果はAGU(米国地球物理学連合)Fall meeting 2009で発表した。また、森林の窒素循環に関するプロセスモデルと水文モデルを結合し、NO_3^-流出をシミュレートするモデルを開発した。
|