研究課題/領域番号 |
18380094
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
王 功輝 京都大学, 防災研究所, 助教 (50372553)
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研究分担者 |
末峯 章 京都大学, 防災研究所, 准教授 (00109092)
汪 発武 京都大学, 防災研究所, 助教 (10324097)
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キーワード | 再活動地すべり / 地震 / 降雨 / 斜面変動 / せん断強度 / 地下水位 / 土砂災害 / 間隙水圧 |
研究概要 |
地震と降雨による再活動地すべりの発生機構を解明するため、2004年台風10号により再活動した徳島県那賀町木沢村(旧)阿津江地すべり地と2004年新潟県中越地震により発生した山古志村尼谷地地すべり地に対して、現地調査を行い、再活動した地すべりの規模と形態および地質構造を調べた。阿津江地すべり地の上方に形成した大規模不安定斜面に対して、斜面変動と地下水位の変化に関する観測を続け、連続した観測結果に基づいて斜面変動をすべり面試料の強度特性と降雨および地下水の変化から検討した。尼谷地地すべりに対しては高精度表面波を用いて、再活動により移動した地すべり土塊の範囲を同定し、移動土塊のS波速度構造から斜面運動による地すべり土塊の密度変化を評価する手法を提案した。この手法の有効性が徳島県井川町の西井川地すべり地への応用でも確定できた。 また、再活動地すべりの発生・運動機構をより理解するため、古くから地すべり変動が生じており、現在も移動している高知県高岡郡仁淀村の長者地すべりと米国コロラド州Hinsdale県San Juan Mountainsに位置する大規模なSlumgullion地すべりに対して、現地調査と土質実験研究を行った。長者地すべりのすべり面付近から採取した蛇紋岩においては、その残留強度がせん断速度に依存し、せん断速度が増大すると、せん断抵抗が大きくなる傾向が確認された。Slumgullion地すべり地に対しては、すべり面付近から採取した試料においては速度効果が確認できたが、源頭部および移動土塊の表層からの試料において確認できなかった。これはせん断に伴ってすべり面付近の土が粘土化したことだと考えられる。また、地すべり粘土のせん断抵抗がせん断速度の増大に伴って大きくなることはこれらの地すべりにおいて大変形が発生したにもかかわらず急速な崩壊に至らなかった原因として有力である。
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