研究概要 |
地中レーダー(GPR)を用いて地下部根系を非破壊的に観察する手法の開発を行うために,兵庫県森林技術センター内の苗畑で,苗畑の土とマサ土の2つの土壌条件の実験ヤードを作り,以下の2つの実験を行った。 1)土壌条件及び深さ方向によるレーダーの探査性能を確認するために,苗畑の土及びマサ土の両方の実験ヤードにおいて,直径5cm及び10cmのスギ材の丸棒を約20cm,50cm,100cmの3段階の深度で埋設した。探査レーダーには,400MHzと900MHzのアンテナを用いた。 2)レーダーで実際の樹木根が検出できるかどうかを確認するために,掘り取りした樹木根サンプル(長さ約60cm,切り口直径2.1〜6.8cm程度)5本を埋設し探査実験を行った。レーダーの探査測線を10cmごとにとった。レーダー探査実験後,測線上にあたる樹木根の直径・位置・深さを記録した。 以上の探査実験結果の解析は,苗畑の土及びマサ土の両方において,10cmの直径では400MHzのアンテナを用いて1m程度,5cmの直径では900MHzのアンテナを用いて50cm程度までの深さでの検出が可能であることを示した。土壌の含水率と探査対照物の含水率の違いが大きいほど,明確に埋設物が判断できた。今回の実験では,直径1cm程度の根系でも検出が可能であった。以上の結果より,レーダーによる樹木根の探査には対象物間の含水率が重要であるとともに,土壌条件が適切であれば根系分布の探査を非破壊に行えることが示された。
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