研究概要 |
地中レーダ(GPR)は地中の根系検出を可能とする機器として期待されているが,その成功は場所の条件に左右され,多くの要因が根系の解像度に影響を与えている。今年度は根系の直径,含水率,根系間の垂直及び水平距離が根系検出に及ぼす影響を評価するとともに,実際の森林で調査を行った。 砂仁埋めたスギの根系を900MHzのGPRで調べたところ,直径が19mmより大きな根系は検出できた。また含水率の高い根系の検出は容易であったが,体積含水率20%以下の根系の検出はできなかった。2本を接しておいた根系の識別はできなかった。このことから根系間の距離がGPRによる検出を可能にする上で重要であり,個々の根系識別ができない場合には根系バイオマスの過少評価につながると考えられた。 上記の結果を踏まえ,根系検出が可能と考えられた土壌が砂地である淡路島及び京丹後網野町の2箇所の海岸クロマツ林でGPRによる根系検出の調査を行った。その結果,予想通りに根系の検出は可能であり,検出が可能になるには土壌と根系の水分条件の差が大きなことが確認できた。しかし,個々の根系の識別はかなり困難で,とくに掘り取りによる位置の誤差によって根系の確認が困難になった。GPRの波長を短くすると細かい根系の検出が可能になるが,検出可能な土壌深が浅くなること,波長が長い場合は検出できる土壌深は深くなるが,検出可能な根系の直径が太いものに限られるなどの条件が明らかになった。
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