研究課題/領域番号 |
18380099
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研究機関 | 独立行政法人森林総合研究所 |
研究代表者 |
石田 清 独立行政法人森林総合研究所, 関西支所, グループ長 (10343790)
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研究分担者 |
金指 あや子 独立行政法人森林総合研究所, 企画部, 室長 (60353645)
戸丸 信弘 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (50241774)
谷 尚樹 独立行政法人森林総合研究所, 森林遺伝研究領域, 主任研究員 (90343798)
菊地 賢一 独立行政法人森林総合研究所, 森林遺伝研究領域, 研究員 (10353658)
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キーワード | ハナノキ / 異系交配弱勢 / 遺伝子移入 / 絶滅危惧 / 孤立小集団 / 保全管理 / 交配距離 / 倍数体 |
研究概要 |
街路樹などとして自生地付近に植栽されるために人為的な遺伝子移入の悪影響が懸念されている絶滅危惧樹木ハナノキ(カエデ科)について、繁殖と実生の生存に及ぼす異系交配弱勢(外交弱勢)の影響を明らかにするため、岐阜県中津川市の母樹を対象に交配・発芽・栽培実験を行い、結実と実生の成長に及ぼす交配距離の影響を推定した。この実験では、集団内短距離交配(交配個体間距離:50m未満)・集団内中距離交配(交配個体間距離:50〜100m)・集団内長距離(交配個体間距離:100〜200m)・集団間交配(23km離れた瑞浪市の集団との交配)の4種類の交配実験を実施した。集団内交配実験を行った結果、集団内の交配個体問距離が結実率と発芽率に及ぼす影響は小さいことが判明した。しかしながら、実生の伸長に関しては交配距離の影響が認められ、長距離交配に由来する当年生実生は、中距離・短距離交配に由来する実生に比べて11〜36%低い苗高(11月測定値)を示した。また、集団間交配実験により、集団間交配由来の果実の成熟種子率([成熟種子数]/[発育不全種子を含む全種子数])が集団内交配の値より23〜29%も低くなることが示された。以上の結果は、ハナノキの集団では、遠方から人為的に遺伝子が移入すると繁殖量や子孫の生存・成長量が低下する可能性が高いことを示している。また、ハナノキは6倍体種であることから、これらの結果は、倍数体種は大きな異系交配弱勢を示しやすいという理論的予想と矛楯しない。これらのことから、ハナノキの孤立小集団を保全管理する場合、遠方の種子に由来する苗木の植栽はできるだけ避けることが望ましいといえる。
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