研究課題/領域番号 |
18380100
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
浦木 康光 北海道大学, 大学院・農学研究院, 教授 (90193961)
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研究分担者 |
平井 卓郎 北海道大学, 大学院・農学研究院, 教授 (20173205)
玉井 裕 北海道大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (50281796)
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キーワード | 人工細胞壁 / 二次壁 / 人工リグニン / 多孔材料 / ミクロフィブリル |
研究概要 |
当該年度は、ハニカムパターン化セルロースフィルムに単離リグニンを吸着させて、細胞壁の好適モデルになるか否かについて、先ず、検討した。エネルギー分散型X線分光器が付いた走査型電子顕微鏡を用いて、リグニンの吸着部位を同定した。この結果、リグニンはハニカムフィルムの表層に多量吸着していることが示され、これは、樹木中のリグニンが細胞間層から1次壁にかけて濃度が高いという状況と酷似することから、リグニン吸着ハニカムセルロースフィルムは、細胞壁の好適モデル、言い換えれば、細胞壁解析用の人工細胞壁として有用であることが明らかとなった。 しかしながら、このフィルムは薄いために、更なる力学的解析および分離幕等への応用を考え、フィルムの肥厚化を試みた。前年度の研究の結果から、細径ガラス管を鋳型とし、これを多数規則的に配列させて、バクテリアセルロースの培養を行った。その結果、予想通り、厚さ1mmを超える多孔フィルムが調製できた。このフィルム中のミクロフィブリル配向を制御する目的で、様々な培養条件を検討した。その結果、セルロース繊維を鋳型材料に吸着させることで、ミクロフィブリルの配向制御が可能であることが見出された。 また、二次壁中のリグニンの構造を模倣した人工リグニンも開発して、その物性も調べた。2次壁リグニンはβ-0-4結合に富むと推定されているので、β-0-4結合にみから構成される人工リグニンを合成した。この研究により、C6-C3型のリグニンは分子間相互作用をするために、直鎖状の合成高分子より分子運動性が低いことが明らかとなった。 以上の成果は、今後、人工細胞壁を高強度機能性材料として利用するときの重要な知見を与えた。
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