研究課題/領域番号 |
18380103
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
信田 聡 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 助教授 (00201541)
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研究分担者 |
斎藤 幸恵 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 助手 (30301120)
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キーワード | 木材 / 水分 / 非破壊 / 乾燥 / X線 / 移動現象 / 拡散 / 含水率 |
研究概要 |
H18年度(初年度)は実施計画のとおり計測技術の確立を目標として、「木材中の水分分布を計測し測定精度を向上させるための装置の調整」を主に行った。実績は以下のとおりである。 ●(計画1)木材中の水分計測の非破壊的手法(デジタルX線マイクロスコープ:備品として本年度購入)を導入して、木材含水率分布計測への適用を可能とすべく画像処理および装置の木材計測へのフィッティングを試みた。撮影したデジタル画像の解析が中心であるが、撮影した画像間の比較(水分量の差を求める)を行うために必要な木材の収縮によるイメージ画像のゆがみ補正、および水分量に影響を与える密度の影響の除去のなどを検討した。(実績1)X線画像処理については、乾燥過程のそれぞれのX線画像に対して、全乾時のX線画像との明度差の画像(以後、明度差画像と呼ぶ)を、差分画像作成ソフトを用いて作成した。つまり、この明度差が単位面積当たりの水分量に相当し、この明度差画像を元に含水率の推定を行った。X線画像の明度については、黒が255、白が0の256階調に変換し定量化した(明度差画像では白黒反転)。X線画像の収縮補正 試験片は乾燥するにつれて収縮するため、乾燥過程のX線画像と全乾時のX線画像の形状は一致しない。この木材の収縮に伴うX線画像のずれを補正するために、市販の画像解析ソフトPhotosbop6.0を用いて、乾燥中及び全乾時のX線画像を乾燥前の形状に目視で拡大復元した。その後、上述の(3)X線画像処理を行った。収縮補正を行わない場合には含水率範囲が繊維飽和点以下の標準誤差は2.1%、0〜122%の含水率範囲では4.3%であったのに対し、収縮補正を行うことで含水率範囲が繊維飽和点以下では1.5%、0〜122%の含水率範囲では4.1%となった。以上から、収縮補正を行うとわずかに含水率推定精度が向上した。●(計画2)上記測定手順により、現有の2気室型恒温恒湿装置を用いて2つの異なる空気環境を設定して、その間に木材を挟み、温度、湿度勾配を発生させ、その環境下で木材内部水分状態が平衡に達した時点で木材をとりだし縦断面(厚さ方向)における含水率分布を本装置により計測した。(実績2)破壊法では測定困難であった数mm厚内の水分分布の正確な測定が可能であることを確認した。
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