研究課題/領域番号 |
18380107
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
畑 俊充 京都大学, 生存圏研究所, 講師 (10243099)
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研究分担者 |
今村 祐嗣 京都大学, 生存圏研究所, 教授 (70151686)
小嶋 祐嗣 京都大学, 生存圏研究所, 助教授 (10215254)
上田 義勝 京都大学, 生存圏研究所, 助手 (90362417)
大澤 幸造 長野工業高等専門学校, 教授 (10176860)
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キーワード | 木質炭素化物 / 木質廃棄物 / カーボンナノチューブ / リチウムイオン電池 / 透過電子顕微鏡 / アルミニウムトリイソプロポキシド / 焼結 / 電気化学的性質 |
研究概要 |
木質炭素化物は材料の組織構造により特性が決定される。ナノおよびミクロスケールの微細構造を制御したハイブリッドマルチスケール材料を創製することが新規用途開発のために重要となる。本研究は、再生可能な木質資源から直パルス式急速熱分解装置によって焼結したカーボンナノチューブ複合炭素化物基板材料を作製後その電気化学的性質を評価し、高効率な充放電特性をもつリチウムイオン二次電池用炭素負極材料を開発することを目的とする。 窒素ガス気流下で700℃、1時間でスギチップの炭素化を行ってから、木質系炭素にアルミニウムトリイソプロポキシド溶液を処理した。乾燥後、パルス通電加熱法によって1300℃,5分間の条件で焼結して木質系炭素基板材料を焼結した。触媒CVD装置を用いて650℃,N_2/H_2,N_2/C_2H_4の条件で、直径50nmの多層カーボンナノチューブが基板材料表面に成長させたハイブリッドマルチスケール木質炭素材料を調製し、多層カーボンナノチューブ複合炭素材料の走査電子顕微鏡および高解像度電子顕微鏡による分析を行った。 カーボンナノチューブの形成には、それに適した表面化学構造をもつ木質炭素化物の設計が重要であることがわかった。アルミナによる触媒黒鉛化によって得られたサンプルでは適切な温度・圧力下におけるプレート状Al_4C_3の分解により、配向性の良好な黒鉛化炭素が形成された。特に1300℃下での部分黒鉛化が生じたサンプルにおいてMWNTの形成が見られた。MWNTは木質炭素化物上でランダムに分布していることを電子顕微鏡によって観察した。Liイオンバッテリー用電極材料への応用を考え、多層カーボンナノチューブを含まない木質炭素化物をLiイオン電池の負極に用いて充放電特性を調べたところ、良好なヒステリスシスと可逆容量が得られた。電気化学的用途への展開が期待される。
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