研究課題/領域番号 |
18380125
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
緒方 武比古 北里大学, 海洋生命科学部, 教授 (00104521)
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研究分担者 |
佐藤 繁 北里大学, 海洋生命科学部, 准教授 (20170748)
小檜山 篤志 北里大学, 海洋生命科学部, 講師 (60337988)
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キーワード | 麻ひ性貝毒 / Alexandrium / 渦鞭毛藻 / 養殖 / 栄養摂取 / 毒生産 / 自家蛍光顆粒 / アンモニア |
研究概要 |
1.ホタテガイ養殖域ではその排泄物に由来するアンモニウムが有毒渦鞭毛藻の増殖・毒生産に寄与すると考えられる。そこで、その摂取や代謝に関わる遺伝子を探索した。その結果本種がアンモニウム輸送体を有し、これを積極的に機能させていることを見出した。 2.GTX1-4のようなC11に硫酸基を有する毒成分のGSHやγGTPなどとの反応を調べ、ホタテガイ等に蓄積された毒成分の代謝・分解には本官能基に対する酸化的分解反応が重要であることを明らかにした。 3.岩手県沿岸域に多く出現する植食性カイアシ類2種Eurytemora pacificaおよびAcartia steueriの有毒渦鞭毛藻Alexandrium tamarenseに対する摂餌活性を調べ、E. pacificaは負の摂餌活性を示すこと、その原因物質はA. tamarenseの細胞内産物に由来する可能性のあること、またカイアシ類の種によりこの物質に対する応答が異なることを示した。 4.有毒渦鞭毛藻のブルームは、その開始が休眠胞子からの発芽によって、また消滅は休眠胞子の形成によって規定されることから、生活史に関わる知見はブルーム予測においても重要である。本年度は、シスト形成に関わる要因を詳細に検討し、カルシウムイオンがセカンドメッセンジャーとして重要な役割を果たしていることを見出した。 5.天然に出現する有毒渦鞭毛藻の生理状態把握を目的として、紫外線励起下で見出される細胞内自家蛍光顆粒の変化を検討した。その結果、青白色の小顆粒の分布はAlexandrium属およびその近縁種に限定的であること、本顆粒は細胞表層に存在し、栄養成分、特に窒素の取り込みに重要な役割を果たしている可能性を示す知見を得た。
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