研究分担者 |
霜浦 森平 千葉大学, 大学院・園芸学研究科, 助教 (40372354)
新開 章司 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教 (30335997)
佐藤 和憲 独立行政法人農業食品産業技術総合研究機構, 中央農業総合研究センター, チーム長 (80355601)
大浦 裕二 独立行政法人農業食品産業技術総合研究機構, 中央農業総合研究センター, 主任研究員 (80355479)
高橋 克也 農林水産省, 農林水産政策研究所・評価・食料政策部, 主任研究官 (20371015)
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研究概要 |
1.消費者直売型農産物流通の形態とそれを支える基礎的条件を把握するため,7つの国・地域を対象として実態調査を行った.韓国では,「農協店舗による農産物販売が国産品愛用運動として定着するとともに,農村ツーリズムの一環として地場農産物の販売がなされていた.タイ東北部では,地域内循環システムを発展させるため,NGO等の支援も受けながら集落内に小売市場を設置する動きがあることを明らかにした.インドネシアでは,農村の伝統的仲買商について,事業内容の詳細や課徴金に起因する非効率を解明した.ドイツでは,定期市の運営方式の詳細を明らかにするとともに,個別農家が経営するファーム・ショップや量販店の地域食品売場が新たな販売方式として普及しつつあることを解明した. 2.直売型農産物流通に関する研究動向と統計資料の所在をレビューした.国内については,農業団体と農林水産省が実施した実態調査を比較検討した結果,有人直売所数は5,600カ所,総売上額は5千億円程度にまで拡大していることが推計された.海外でもEUによる主要加盟国の消費者直結型フードチェーン実態調査,アメリカ農務省によるファーマーズ・マーケット調査が実施されている.反面,ローカル・フードを単純にオールタナティブな取組みとして評価することの問題点を指摘する研究も現れていることがわかった. 3.直売型流通の具体的な販売形態に関する比較考察を行った結果,日本の直売所で一般的な常設店舗内に多数の出荷者の産品を並べて一括精算する販売方式は,他国ではみられない独自性の高い方式であることが確認された.ただし,タイの例のように,新たな取組みとして直売型流通を導入する地域では,日本に類する方式をとる例もあることも確認した.日本型の販売方式を成立させうる基礎条件の解明が次年度以降の課題として浮かび上がった.
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