1前年度までに実施した国・地域別調査対象地のうち、補足調査を要する地域について現地調査を行い、新たな知見を得た。 (1)タイでは東北地方のコミュニティ・マーケット(CM)導入集落にて出荷農家に詳細なインタビュー調査を実施し、得られたデータを統計解析した。CM出荷農家は他の農家に比べ、複合農業の導入に積極的であることと、CMでの販売収入により家計も改善されていることを実証した。 (2)イタリアではスローフード運動が取り組む農家直売のマネジメント方式を調査した。日本の直売所に類似した、複数の農家の産品を共同直売する施設が試行されているが、国内の税制と齟齬があり早急は普及は難しいことを解明した。 2前年度までの成果をもとに、複数の視点から部門別考察を行い、日本の直売型農業・農産物流通との共通点と違いを明らかにした。 (1)販売形態面では、日本のように複数農家の産品を共同直売する方式は稀であり、出荷農家が個別ブースで自身の産品を直接販売する方式が多くの国で一般化している。 (2)直売組織は、欧米諸国では都市側のイニシアティブで運営されるのが一般的であるが、アジア諸国では農村主導で運営されている。 (3)各国に共通している事項としては、家族経営農家の販路として評価されていること、安全衛生面への消費者の関心と政策上の規制が厳しくなっていることがあげられる。
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