研究分担者 |
木立 真直 中央大学, 商学部, 教授 (10224982)
佐藤 和憲 独立行政法人中央農業総合研究センター, マーケティング研究チーム, チーム長 (80355601)
藤田 武弘 和歌山大学, 経済学部, 教授 (70244663)
杉村 泰彦 酪農学園大学, 酪農学部, 講師 (80405662)
坂爪 浩史 北海道大学, 農学研究院, 准教授 (80258665)
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研究概要 |
1.わが国の生鮮食品流通において重要な役割を果たしてきた卸売市場の機能は,近年の卸売市場経由率の低下に端的に示されるように弱体化しつつあり,その機能拡充が重要な課題となっている。本研究は,1999年と2004年の二度にわたる卸売市場法改正による卸売市場制度の歴史的「大転換」のもとでの卸売市場の流通機能強化の方向を,卸売市場の取引主体である卸売企業の商業機能に着目して実証的に検討することを目的としている。 2.今年度は,(1)前年度の研究成果の確認と今年度の研究計画の検討のための研究打合せの開催(2回),(2)周辺市場への影響が大きい大都市拠点中央卸売市場の実態調査(東京・横浜・大阪・神戸など),(3)地方都市中央卸売市場の実態調査(福島,宇都宮,金沢,福井など),(4)積極的な取り組みを行っている地方卸売市場の実態調査(郡山,東京多摩,長野,上田など),(5)日本の卸売市場経由率低下に影響を与えていると考えられる中国の冷凍野菜輸出企業の実態調査,を実施した。 3.上記の実態調査の結果,以下の新たな知見が得られた。 (1)卸売市場の施設整備,とりわけ低温売場や場内物流施設の整備によって流通機能の高度化を図っている市場が現れてきている(新潟市,横浜市南部,神戸市東部,東京多摩など)。 (2)増加しつつある外食産業などの業務需要に積極的に対応することによって,垂直的な機能拡充を図ろうとしている卸売業者が存在する(横浜市南部,東京多摩など)。 (3)伝統野菜の集荷,GAPの取り組み,直営農場の設置など,生産段階への関与を強めることによって垂直的機能拡充を図ろうとしている卸売業者が現れてきている(金沢市,郡山市,長野市など)。 (4)複数卸売業者の経営統合や合併などによって複数市場での事業展開を行うことによって水平的機能拡充を図り,事業の拡大と経営基盤の強化を図る卸売業者が現れてきている(神戸市本場,長野市,上田市など)。
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