研究課題
19年度においては、(1)農業・食品分野へのナノテク応用に関する基本情報収集、(2)海外動向(研究開発、規制)の把握、(3)国内研究開発動向のヒアリング、(4)市民参加手法をナノテクに適用する際の課題抽出、(5)模擬的参加型技術評価の準備作業を実施した。(1)〜(3)を通じて、ナノテクの農業・食品分野への応用動向に関しては、特に食品分野への適用が内外で活発であること、しかしアメリカと欧州においてはナノテクを明示するかどうかという食品産業の考え方が異なること、また規制方針に関しても、やや異なった対応が米欧間で生まれつつあることが明らかになった。国内の消費者においてはナノテク応用食品への認知度は総じて高くないと考えられるが、米欧では否定的な認識が存在しており、日本における状況について比較対照のために、早急に把握する必要があることが分かった。(4)(5)では、専門家へのインタビューや文献調査の結果から、国内の消費者における認知度が高くないこと、農業・食品分野に関する規制については議論が開始された段階であること、専門家の属性が多様であり、例えば微細化とセンシングでは研究の背景も効果も全く異なること等がわかった。このことから、多様な市民を集め、専門家の意見を聞きながら市民自身が感じることを議論していくスタイルの会議では、参加者の合意形成が困難であり、市民的価値の抽出も困難であると予測された。そこで、新技術の健全な社会的導入は、専門家が開発したいものと市民の社会的ニーズが一致することであるとの基本的観点に立ち返り、専門家が市民の意見を聞いて議論するプロセスや、技術の導入によって引き起こされたくない社会的影響について合意形成を目指すといった視点を取り入れ、双方の対話を促進する新たな手法の素案を構築した。
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科学技術社会論研究 6(掲載決定)
農業と経済 73(14)
ページ: 20-27
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