研究概要 |
(1)複数の水利施設のLCC評価をもとにしたアセットマネジメント手法の開発 昨年度までに開発したため池のLCC算定手法を複数のため池に適用し,地域の水利施設の維持補修管理手法を評価する手法を開発した。 さらに,水路の復旧を迅速に行うために,GISを用いた臨時パイプラインのルート選定手法を開発し,復旧損失リスクを減少させる手法を提示した。 実際の豪雨災害データを用いたLCCの算出手法は我が国の農業水利施設では初めてのものであり,本研究は今後のLCC算出の基本形となって貢献することが期待される。 (2)損傷進展の予測手法の開発 コンクリート材料や岩石材料の凍結融解と化学作用による劣化が損傷パラメータの変化に及ぼす影響を実験的に検討した。また,その結果を用いて日本の地域における降雨と気温変化が斜面の劣化に及ぼす影響について数値シミュレーションする手法を開発した。 堤体の越流破壊速度を決定する侵食速度を実験的に調べ,密度との関係を明らかにした。 土構造物の劣化と破壊確率の変化が本研究成果により定量的に評価できる可能性がある。 (3)非破壊検査手法の精度向上 電磁波を用いた検査手法に打音で用いられるインパクトエコー法を援用して解析する手法を開発し,それをため池堤体に適用して,内部の浸潤状態を推定することに成功した。 本手法は短時間で測定可能であり,極めて経済的であり,しかも効果的であるので,今後の幅広い活用が期待される。
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