研究概要 |
温度を20℃一定で96時間貯蔵する実験区(対照区)と初期24時間は2℃の低温ストレスを付与し,その後20℃で72時間少する実験区について検討した。この条件設定は,低温ストレスにより水チャネル発現量が減少するという報告(Lietal.,2000)があり,一方,ホウレンソウの代表的な水チャネルであるPM28Aは収穫後1〜2日で半減するという報告(前田,2004)があることに基づいている。 ホウレンソウの葉肉細胞の細胞膜水透過係数Lpの経時変化24h毎に測定した(n=7〜14)。その結果,両貯蔵区において大差はなかったが,24h後に2℃→20℃区のLpが20℃区より5%有意小さく,48hでは10%有意で小さい結果になった。これにより,2℃→20℃区は20℃一定区に比べLp力砥く掬えられるとした予測が概ね裏付けられた。 葉内の水のNMR縦緩和時間T1(n=4)は2成分に分かれた。T1の長い成分に着目すると,96hの貯蔵時間を通して両区に顕著な差は認められず,96hで増大するという傾向を示した。 目減りは,20℃一定区で初期の24hに大きく,その初期の差が96h後にも維持された結果になった。 以上,初期にのみ行う低温処理に目減りの抑制効果が認められ,それが水透過係数Lpの差に関係していることが示された。また,Lp測定の自動化については,画像処理プログラムの検討が残っているものの,システムは概ね構成された。
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