研究課題/領域番号 |
18380151
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研究機関 | 独立行政法人農業環境技術研究所 |
研究代表者 |
桑形 恒男 独立行政法人農業環境技術研究所, 大気研究環境領域, 主任研究員 (90195602)
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研究分担者 |
村井 麻理 独立行政法人農業・食品産業技術研究機構, 東北農業研究センター, 主任研究員 (00343971)
櫻井 淳子 独立行政法人農業・食品産業技術研究機構, 東北農業研究センター, 主任研究員 (40343959)
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キーワード | イネ / 群落微気象モデル / 蒸散 / 吸水 / 根域温度 / 通水コンダクタンス / アクアポリン |
研究概要 |
本研究では、根域の温度環境が植物の吸水-蒸散に及ぼす影響を実験的に明らかにし、これを合理的に再現するモデルを提案する。次にこの吸水-蒸散モデルを、すでに開発が完了している作物(イネ)の群落微気象モデルに組み入れる。さらに、根域温度に依存した根の吸水機能の変化に対するアクアポリンの貢献度を評価し、その役割を解明する。 1.吸水・蒸散に及ぼす根域温度の影響 イネの吸水・蒸散に及ぼす根域温度T_Rの長期的な影響を調べた。蒸散量はT_Rの低下により減少し、20日以内の期間では顕著な回復は見られなかった。長期的なT_Rの低下は、地下部への分配や根の形態も変化させ、それが蒸散量にも影響を与えていることがわかった。 2.根の通水コンダクタンスの根域温度依存性 イネの根の通水コンダクタンスLpの根域温度T_Rに対する依存性(短期応答)は、アレニウスの関係式で表すことができた。温度依存性の程度を表す活性化エネルギーEaはT_R>15℃において28kJ mol^<-1>となり、T_R<15℃ではLpの急減に対応してEa=204kJ mol^<-1>に増大した。 3.根域温度に依存した吸水・蒸散量の変化に対するアクアポリンの役割 他の研究プロジェクトで得られた成果も活用し、根域温度T_Rに依存した吸水・蒸散量の変化に対するアクアポリンの貢献度を評価した。T_Rの短期的な変化に対しては、アクアポリン発現量に顕著な変化は見られず、アクアポリン機能の変化が根の通水性に影響を与えていることが推定された。T_Rの長期的な変化に対しては、アクアポリン発現量の変化が根の通水性に影響を与えている可能性が示唆された。 4.根域温度に対する根の吸水機能の変化を考慮した吸水・蒸散モデル これまでの実験結果に基づいて、根の吸水機能を考慮したイネの吸水・蒸散モデルを構築した。モデル計算に基づく感度実験から、根域温度の変化がイネ群落の吸水・蒸散に与える影響を評価した。
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