研究概要 |
本年度は,昨年度試作した密度計測装置の測定精度向上を図るとともに,本方式で密度選別した果実を用いて,収穫時密度による熟度進行の差異について実験的な検討を行った.2007年11月9日〜16日にかけてキウイフルーツの収穫時密度を農園で計測し,それらを実験室に持ち帰って,その後の追熟実験に供した.密度計測については,気温差による共鳴器自体の膨張・収縮による体積測定精度の低下を回避するために,肉厚(容器壁厚20mm)の真鍮製容器を新たに試作するとともに,計測プログラムを見直し,計測時間の短縮化を図った.その結果,体積測定については決定係数r^2=0.9999,SEC=0.14cm^3の精度での計測が可能となった.気温補正処理を行った密度計測では,液体置換法と質量計測から求めた密度を真値として,相関を取ったところ,決定係数r^2=0.9254,SEP=0.0019g/cm^3となった.測定精度は,昨年度より向上したが,糖度推定精度を1%以下とするためには,0.0037g/cm^3以下の密度差を検出しなければならず,密度選果に供するためにはさらなる精度向上が必要である.追熟実験では,3℃の低温庫に1週間程度貯蔵してから,20℃-100ppmのエチレン環境下に40時間曝露し追熟処理を行った.追熟処理後は5℃から25℃まで5段階の温度設定のインキュベータ内に貯蔵し,Brix糖度と硬度の経日変化を測定した.エチレン曝露直後にかなり糖化が進んでいたこともあり,各密度区間で最終糖度到達日数に有意な差がみられなかった.硬度計測結果からは低密度区のものほど軟化進行が速いことが確認された.低密度区のエチレン生成速度は他の区と比較して著しく大きかったが,このことは軟化進行が果実密度によって異なることと何らかの関連がある可能性がある.
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