研究概要 |
1. 本研究は,果実,果菜類の生産作業をロボット化するために必要な,実用的性能をもつ三次元視覚認識技術を確立しようとするものである。2波長式三次元視覚センサを用いる方法と三次元カラー画像を得るセンサシステムを用いる方法について実験を行った。 2. 用いた2波長式三次元視覚センサは,赤と近赤外のレーザビームを走査して,対象からの反射光をPSDで受け,距離画像,赤色画像,近赤外画像を得るものである。トマト収穫ロボットに装着して実験を行った。果実の認識は,赤色画像と近赤外画像の濃度値を比較することで行い,果実中央部の認識は,中央部で濃度値がピークをもつことを利用して行った。果房の上部2葉まで摘葉したミニトマト,中玉トマトを対象として画像認識を行った結果,視野内にある赤熟果実の85%程度の果実が認識できた。認識できなかった果実の多くは,果実中央部がほかの果実などで隠れているもので,中央部が見える果実は,ほぼ確実に認識できた。ほかの果実に隠れた果実は,手前の果実の収穫後に再度走査することで認識可能なものが多かった。また,距離画像を処理することによって,ロボットが障害物を避けて収穫動作を行うための経路決定も可能であった。 3. 三次元カラー画像を得るセンサシステムは,近赤外レーザを走査して距離画像を得るとともに,カラーカメラでカラー画像を得るものとした。イチゴ収穫自動化のための画像認識を試みた。イチゴは緑→白→赤の順で赤熟する。上述の2波長式三次元視覚センサでは,白色の果実と赤い果実の区別が困難であるが,カラーカメラを用いることにより,赤熟果実のみを認識することが可能であった。 また,カラー画像のみでは果実同士が隣接して果実画像が重なったときには,個々に認識することが困難であったので,距離画像を用いて重なった果実の分離を試みた。その結果,2つの果実が前後に重なっている場合には分離できた。
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