研究課題/領域番号 |
18380156
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
雑賀 優 岩手大学, 農学部, 教授 (10183360)
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研究分担者 |
菅原 幸哉 畜産草地研究所, 飼料生産管理部, 研究員 (30355078)
井上 逹志 宮城大学, 食産業学部, 講師 (20264351)
山下 雅幸 静岡大学, 農学部, 准教授 (30252167)
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キーワード | アルカロイド / エンドファイト / 親和性 / トールフェスク / ペレニアルライグラス / ミネラル / ロリトレムB |
研究概要 |
エンドファイト同定用に設計したプライマーによる解析、および、エンドファイト菌群において種間比較の標準のひとつになっているβチューブリン遺伝子の部分配列の検討から、低Lolitrem B系統のF-endoはN. loliiであることを明らかにした。また、F-endoが感染していた宿主個体について特異的なバンドがどの程度含まれているかの解析を行なった結果、ペレニアルライグラスであると判明した。 次に、F-endoをペレニアルライグラス収集エコタイプに接種した個体を供試し、異なる宿主植物間によるロリトレムB含量の違いを調べた結果、宿主植物の遺伝子型により大きな変異が認められ、親和性に差が認められた。DNAマーカー検査の結果ハイブリッドライグラスと判定される個体もあったが、芒の有無、DNAマーカー検査の結果とロリトレムB含量に関係はなかった。富士山麓におけるフェスク野生9集団中8集団でエンドファイト感染個体が見つかった。種子感染率は平均45%であったが, 自生地の標高と感染率との間には明確な関係は認められなかった。北東北から塚集したトールフェスク個体で野生型エンドファイト菌の影響を調べたところ、エンドファイト感染個体区では茎数、クロロフィル含量、乾物量が多く、リン酸吸収量が増加したことから、わが国の酸性土壌下でミネラル吸収特性を改善することが確認された。 動物実験による毒性試験では、マウスでは反芻家畜の中毒閾値をはるかに超えるロリトレムBを経口摂取させても明らかな中毒は発現しない。これには反芻胃あるいは実験動物の肝におけるロリトレムBの代謝能の関与が考えられた。ハムスターでは遷延する軽度の震顫が認められた。ハタネズミ(Microtus montebelli)10頭を2区に分けて代謝装置内で飼育しそれぞれペレットに成型したN. loliiエンドファイト感染種子を2週間給与したところ、摂水量および尿量が有意に増加した。
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