研究課題/領域番号 |
18380157
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
豊水 正昭 東北大学, 大学院農学研究科, 助教授 (80180199)
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研究分担者 |
宮澤 陽夫 東北大学, 大学院農学研究科, 教授 (20157639)
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キーワード | フロンティア環境 / 肉用鶏ブロイラー / 暑熱ストレス / ミトコンドリア / 活性酸素 / 栄養制御 / 膜電位 / プロトンリーク |
研究概要 |
肉用鶏ブロイラーは、最適環境下での生産性向上を目指して遺伝的に選抜されてきたので、暑熱などに代表されるフロンティア環境に対する代謝適応能は低いと考えられている。これまでにも、急性暑熱暴露に伴う急激な体温上昇や呼吸性アルカローシス発症に着目した多数の栄養生理学的知見は得られてきたものの、生産性向上や肉質改善のための十分な対策を編み出すにはいたっていない。本研究は、急性暑熱感作に伴うROS産生増大の発現機序とその栄養制御法について明らかにすることを目的としている.本年度は、暑熱ストレス下での骨格筋O_2^<・->産生増加のメカニズムを解明するため、ミトコンドリアにおけるO_2^<・->産生部位ならびにこれにともなう過酸化過程を定性的・定量的に検証した。 A.暑熱ストレス下でのO_2^<・->産生部位の同定、すなわちO_2^<・->産生の基質特異性を明らかにした。NADH産生酸化基質とADH_2産生酸化基質を用いて電子伝達鎖の複合体からのO_2^<・->産生量を確認した。 B.暑熱ストレスの負荷時間経過に伴う過酸化脂質(ROOH)、アルデヒドならびに反応生成物の動態を明らかにした。すなわち、急性暑熱ストレス18時間の鶏の骨格筋ミトコンドリアでは、脂質とタンパク質の酸化的損傷が誘導されることを、過酸化脂質の分解産物であるマロンジアルデヒド(MDA)とDNPHを用いた蛋白質カルボニルから実証した。本実験により暑熱感作に伴う肉質の低下の一要因が明らかとなった。 C.暑熱ストレス下でのO_2^<・->産生の増加が、この制御因子の一つであるミトコンドリアプロトンリークの低減に関連するか否かを明らかにするため、「仮説カスケード」、すなわち脱共役タンパク質低下->膜電位の上昇->O_2^<・->産生増大との流れに沿ったものであるかを実験的に確認している。
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