研究課題
臓器不足を背景にABO不適合腎移植が行われているが、移植臓器に発現するABO不適合抗原に対する抗体が産生される結果、拒絶反応が発生し得る。本研究はABO不適合移植に応用する事ができる免疫寛容誘導法を確立し、同移植の安全性をより高める事を目的としている。本研究課題では、マウスを用いてABO式血液型抗原(ABO抗原)に対する免疫寛容の誘導法を検討するとともに、より人に近い大動物実験モデルとしてABO抗原を発現するクローンブタを作出し、それを用いて免疫寛容の誘導について検討する事を目指す。平成19年度に実施した研究内容を以下に要約する。1.遺伝子導入によりヒトのA抗原またはB抗原を定常発現するブタ胎児由来線維芽細胞を樹立し、これらの細胞をドナー細胞として用いた核移植を行うことによりA型のクローンブタを作出する事ができた。目的とする血管内皮細胞へ強くABO抗原を発現するクローンブタを得る為に、ヒト型のO抗原を更に強く発現させるための手法について検討している。2.ヌクレオフェクション法によりB抗原を発現させたリンパ球を静脈内投与することによりマウスにおいてB抗原に対する免疫寛容を誘導する事ができた。同様の方法によりブタおよびヒヒのリンパ球にもABO抗原を発現させ得る事を確認できた。ブタにおいてA抗原またはB抗原に対して免疫寛容を誘導するための実験を行っている。4.より効率的な遺伝子導入を実現させる目的でブタおよびヒヒのリンパ球の培養方法について検討している。5.マウスにおいて免疫寛容または免疫順応が誘導された時のABO抗原特異的なB細胞の機能について検討している。
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Transplantation 83
ページ: 1284-1286
Transplant International 30
ページ: 365-370