研究課題
胚性幹細胞及び体性幹細胞の樹立および、それらの分化制御による再生を鳥類において試みた。胚性幹細胞はニワトリ胚盤葉明域中央部より採取した。この細胞塊を完全な単一解離細胞へと解離し、培養液を注入した。CO_2インキュベーター内でこれらの細胞を培養した。各種のサイトカインを培養液に添加し、それらの効果を解析した。これによって培養条件下での胚様体の形成が確認された。さらに胚性幹細胞をドナーとし、レシピエントに移植した。この結果、移植したドナー細胞は初期胚の血管系に侵入し、血流によって胚体内及び胚体外に循環することが確認された。胚発生が進展するにつれ、これらの細胞は生殖腺原器へと移住定着することが確認された。このことからドナー細胞は生殖細胞系列を含む各種の細胞系譜へと発生分化し得ることが確認された。生殖細胞キメラ同士の交配によって筋ジストロフィーニワトリの完全再生にも成功した。体性幹細胞を分取するため、初生雛から大腿骨および脛骨を採取した。こうして得た骨髄内容物を遠心分離し、細胞ペレットを残し上清をアスピレートした。遠沈管に血球分離用試薬であるLympholyte-Mを加え、遠心分離した。これらの中間層およびその上層を別の遠沈管に移した。PBSで希釈後に再度遠心分離した。これらのサンプルを培養液と共に培養用ディッシュに播種し、細胞を培養した。またこれらの骨髄幹細胞をドナーとしレシピエントに移植した。この結果、移植した骨髄細胞はレシピエントの血管系や心臓部に集積し、キメラ体内で血管内皮細胞として再生した。これにより鳥類骨髄細胞の分化制御により各種の臓器や器官を再生する新規の実験系を確立した。
すべて 2009 2008
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)
Cells Tissues Organs 189
ページ: 348-355
Journal of Poultry Science 46
ページ: 46-51
Reproduction, Fertility and Development 20
ページ: 900-907