研究課題/領域番号 |
18380169
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
佐伯 和弘 近畿大学, 生物理工学部, 教授 (10298937)
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研究分担者 |
細井 美彦 近畿大学, 生物理工学部, 教授 (70192739)
松本 和也 近畿大学, 生物理工学部, 教授 (20298938)
三谷 匡 近畿大学, 先端技術総合研究所, 准教授 (10322265)
田口 善智 近畿大学, 生物理工学部, 講師 (70309269)
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キーワード | 共役脂肪酸 / ウシ / 筋衛星細胞 / リノール酸異性化酵素遺伝子 / 脂肪細胞 / 共役リノール酸 / 腸内嫌気性細菌 |
研究概要 |
共役リノール酸は発ガン抑制や抗肥満などの効果が報告されている。これまでに、共役リノール酸を合成できるリノール酸異性化酵素遺伝子(PAISOM)が、ウシの腸内嫌気性細菌(Propionibacterium acnes)から単離された(Rosson et al., 2001)。本研究では共役リノール酸を畜肉や乳汁中に蓄積させ、それを摂取することで人の健康によい家畜を作出できるのではないかと考えた。昨年度リノール酸異性化酵素(Linoleate isomerase)遺伝子(PAISOM)の発現ベクター(pCAG/PAISOM/IRES/EGFP/SV40(neo^r)のウシ筋衛星細胞への導入に成功したことを報告した。本年度はこれら安定的遺伝子導入細胞株を用いてクローン胚を作製した。PAISOM遺伝子導入細胞の内EGFP発現が強く脂肪細胞への分化能の高い細胞を用いた。合計144個のクローン胚を作製し排便法への発生を観察した。その結果86個(60%)が卵割し、32個(22%)が胚盤胞へ発生した。これらは遺伝子を導入していない細胞による対照区の卵割率(72%)および胚盤胞への発生率(23%)と同様だった(P>0.05)。次に、遺伝子導入細胞においてPAISOM遺伝子が機能的に発現しているかどうかを検討した。2株あるPAISOM導入ウシ筋衛星細胞を脂肪細胞へ分化させ、細胞および培養液の脂質を抽出してガスクロマトグラフィーで脂肪酸組成を調べた。その結果、細胞培養液の脂肪酸組成解析の遺伝子導入筋衛星細胞株5で対照区の非遺伝子導入筋衛星細胞株および遺伝子導入筋衛星細胞株1とは異なるピークが確認できた。しかし、このピークは目的のtrans-10,cis-12型共役リノール酸ではなかったが、その代謝産物と考えられる共役アラキドン酸の可能性が示唆された。よって、今後はこのピークの詳細な解析が必要と考えられる。
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