研究概要 |
いわゆるトリのグリオーマ so-called fowl gliomaは申請者の知る限り自然界で発生する動物の脳腫瘍の中でウイルスとの因果関係が実験的に証明された初めてのグリオーマである。本疾患の原因ウイルスFowl glioma-inducing virus (FGV) は組み換えによって神経病原性を獲得したトリ白血病 ALV であることが明らかとなり,そのいわゆるトリのグリオーマ so-calledfowl glioma は申請者の知る限り自然界で発生する動物の脳腫瘍の中でウイルスとの因果関係が実験的に証明された初めてのグリオーマである。本疾患の原因ウイルスFowl glioma-inducing virus (FGV) は組み換えによって神経病原性を獲得したトリ白血病 ALV であることが明らかとなり,その腫瘍原性には神経系細胞で産生される未知の蛋白 (転写因子),プロモーターとして働く LTR,そして宿主細胞側の癌遺伝子 c- mycあるいは K -ras が関与して癌化に結びつくことが浮き彫りとなった。本研究課題は研究費交付期間に (1) FGV のLTR を活性化させる神経系細胞特異的転写因子の同定,(2)トランスジェニック (Tg) ニワトリを用いたLTR の機能解析,(3) 採卵鶏由来グリオーマ原因 ALV の分離および感染実験による病原性の解析,(4) 採卵鶏由来ALV と申請者が過去に分離した日本鶏由来FGV との分子系統学的比較,(5) グリオーマ誘発ALVの env 遺伝子とALV-A 由来トリレトロウイルスベクター(RCAS(A)株)のenv を入れ換えたキメラウイルスの腫瘍原性の変化,以上5 課題を行うことで,レトロウイルスの神経病原性発現機構を解明することを目的とする。
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