本研究ではプロテオーム解析手法を用いて、ネオスポラ原虫の宿主細胞への吸着・侵入に関わるタンパク質の網羅的同定と新規ワクチン・薬剤標的分子の発掘を目的として実施する。本年度に実施した研究内容と得られた研究成果は以下の通りである。 1. ネオスポラ原虫の全虫体タンパク質を2-DEにて展開し、膜に転写した後に近縁のトキソプラズマ感染マウス血清を用いたイムノブロットを行ったところ、多くの交差反応抗原が検出された。これらの抗原タンパク質についてMALDI-TOF-MS解析を行ったところ、18種類のタンパク質の同定に成功した。 2. トキソプラズマ原虫の全虫体タンパク質を2-DEにて展開し、膜に転写した後に近縁のネオスポラ感染マウス血清を用いたイムノブロットを行ったところ、多くの交差反応抗原が検出された。これらの抗原タンパク質についてMALDI-TOF-MS解析を行ったところ、19種類のタンパク質の同定に成功した。 3. 上記で同定された交差反応抗原タンパク質の中、NcP0/TgP0、NcAMA1/TgAMA1、NcGRA7/TgGRA7、NcHSP90/TgHSP90、NcLDH/TgLDHなどは、今後両原虫感染症に対する共通ワクチン候補として期待される。
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