研究概要 |
本研究は、一滴の血液サンプルから動物の原虫感染症を網羅的に診断できるペプチドアレイを開発することを最終目的とし、以下の手順で実施する。1)各種原虫の主要抗原エピトープの解析、2)各種主要抗原のペプチド合成、3)各種主要抗原の感染血清を用いた合成ペプチドの抗原特異部位の決定、4)試作ペプチドアレイの作製と抗体の最適反応条件の検討、5)試作ペプチドチップの野外試験およびその総合評価、6)本法の導入による原虫症に対する万全な監視体制の確立することである。本年は、1)各種原虫の主要抗原エピトープの解析、2)各種主要抗原のペプチド合成を行った。 1)各種原虫の主要抗原エピトープの解析 ウシバベシア原虫,ネオスポーラ、トキソプラズマ原虫のこれまで報告されている抗原のなかから、これまでELISAにより特異性、感度が高い診断用の抗原として優れている抗原を検討した。その結果、ウシバベシア原虫B.bovis, B.bigeminaでは両方ともRAP-1抗原、Toxoplasmaでは、SAG2抗原,NeosporaではSAG1抗原が選択された。 2)各種主要抗原のペプチド合成、、 それぞれの原虫のRAP-1、SAG2、SAG1の抗原について、それぞれ10アミノ酸残基を5アミノ酸残基ずつずらしながらペプチドを合成した。次に得られた合成ペプチドをセルロース膜に塗布した。 3)抗原エピトープの解析 ウシバベシアのRAP-1の合成ペプチドを塗布したセルロース膜に感染血清および陰性血清をを反応させ、抗原性の高い部位を検索した。しかしながら非特異的反応が高く、抗原性の高い部位の特定には至らなかった。今後、ペプチドのアミノ酸数、血清濃度の希釈、非特性的反応を防ぐ方策について検討する必要がある。
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