牛ウイルス性下痢ウイルス(BVDV)感染症は世界各地で流行し、乳肉牛飼養農家にとって経済的損失の大きな感染症である。より効果的なBVDV 予防法を確立することは、生産獣医療における重要課題の一つである。BVDV に対するワクチンは数種類開発されているが、接種は任意であるため接種状況は不明であり、生産現場におけるその有効性も明らかではない。また、BVDV は日本にも常在しており、牛の移動、畜産関係者の出入り、畜産物の流通などでの伝播が指摘されている。しかしながら、BVDV は野生反芻獣をも宿主としていることから、牛群への侵入門戸は多いと考えられ、その経路も含めて不明な点が多い。本研究においては、牛群のBVDV汚染状況を監視することによって流行状況を把握し、有効なバイオセキュリティー対策確立のためのコホート研究によるリスク分析を基に、ウイルスの牛群への侵入経路を解明してBVDV 予防法を確立することを目的とする。対象地域内の牛群を継続的に監視し、PI 牛が牛群へ侵入した時点からのその地域における環境要因、繁殖成績、個体移動状況、ワクチン使用歴などの疫学情報を収集し危険因子を分析する。
|