研究課題
本年度は対象となる新規リケッチア病原体の遺伝子解析を行い、種特異的PCRの開発をするとともに、北海道内の放牧地周辺におけるベクターと保菌動物の調査を行った。1.エールリヒア各病原体の16S rRNAおよびクエン酸合成酵素遺伝子(gltA)に注目し、種特異的PCRを開発した。gltA配列に基づくPCRの感度が良好であった。リケッチア各病原体では互いに塩基配列が非常に近似しており、種特異的PCRが確立できず、制限酵素多型による鑑別を行った。2.野生動物およびマダニを材料にした疫学調査(1)北海道のエゾシカ末梢血の属特異的PCRと遺伝子解析の結果Rickettsia helvetica, Ehrlichia muris及びAnaplasma bovis近縁遺伝子断片が検出された。(2)神奈川県のアライグマ血清187検体のうち1検体がEhrlichia canisと、3検体がEhrlichia chaffeensisと、また1検体がAnaplasma phagocytophilumと40倍以上で反応した。(3)北海道十勝管内の放牧地等から採取したマダニから、属特異的PCRと遺伝子解析によりリケッチア性病原体を検索したところ、シュルツェマダニ(IP)からRickettsia helveticaおよび'Candidatus Rickettsia tarasevichiae'と近縁(99.8%)な遺伝子断片が、また別のEhrlichia strain HFと遺伝子配列が100%一致するものが検出された。さらにヤマトマダニからはEhrlichia strain HF近縁(99.9%)の種が検出された。これらのことから、産業動物を取りまく環境中には新規病原性リケッチアが野生動物とマダニのなかで生息しており、マダニ寄生等を通じて家畜にも感染する危険があると考えられた。
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