研究課題
本年度は種特異的PCR等を利用して、放牧地およびその周辺における野生動物と牛について、また小動物を歩哨動物として全国的な調査を行った。またリケッチアを含むマダニが媒介性病原体の診断法を確立した。1.野生動物および牛を材料にした調査北大静内研究牧場に放牧中の牛78頭の末梢血および同放牧地内で捕獲されたエゾシカ22頭を検索したところ、(1)Anaplasma phagocytophilum特異的PCRでは牛1頭(1.3%)が陽性を、またエゾシカ10頭(45.5%)が陽性であった。陽性牛にとくに臨床症状はみられなかった。遺伝子解析ではいずれの検体も既知エゾシカ由来株と高い相同性を示し、また欧米株とは別のcladeを形成しており、我が国のA. phagocytophilumは欧米株と病原性が異なる可能性が考えられた。(2)Anaplasma bovis特異的PCRでは牛12頭(15.4%)とエゾシカ5頭(22.7%)が陽性を示した。A. bovis陽性牛にも臨床症状は認められなかったが、遺伝子解析ではアフリカ株との相同性が高かった。今後我が国においては、牛のみならず、ヒトや馬に関しても両病原体の臨床症状の発現等について注意するとともに、ベクターや浸潤状況を明らかにする必要がある。2.小動物を歩哨動物とした全国的調査全国35都道府県の犬1207頭および猫584頭を歩哨動物としてリケッチア血清疫学調査を行ったところ、犬20頭(1.7%)猫4頭(0.7%)がRickettsia japonica抗体陽性であった。日本紅斑熱患者発生のない地域においても、R. japonica特異的抗体陽性動物が確認されたことから、今後これらの地域における患者発生に注意する必要があると考えられた。またマダニ寄生機会の多い動物はリケッチア感染症疫学の歩哨動物として有用と考えられた。3.マダニ媒介性病原体の診断法確立マダニが媒介する産業動物の疾病であるアナプラズマ、バベシア等の分子生物学的及び血清学的診断法を開発した。
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