研究課題/領域番号 |
18380189
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
津田 雅孝 東北大学, 大学院生命科学研究科, 教授 (90172022)
|
研究分担者 |
永田 裕二 東北大学, 大学院生命科学研究科, 助教授 (30237531)
大坪 嘉行 東北大学, 大学院生命科学研究科, 助手 (40342761)
|
キーワード | 環境浄化 / 環境細菌 / 可動遺伝因子 / 遺伝子水平伝播 / プラスミド / ゲノミックアイランド / 遺伝子治療 |
研究概要 |
土壌細菌が持つ環境汚染物質分解酵素遺伝子は、プラスミドやゲノミックアイランド(GI)などの可動遺伝因子支配が多く、その自己接合伝達能により水平伝播した広範な細菌株の迅速な環境適応と進化に大きく貢献している。本研究では、水平伝播能のある3種の当該可動遺伝因子について、その水平伝播の分子機構、水平伝播を制御する各種要因、水平伝播可能な受容菌宿主域の規定要因を解明する。また、これら因子の自然生態系での挙動の検討とともに、水平伝播能を利用して汚染物質分解酵素遺伝子を担う新規可動遺伝因子の取得・解析を行う。平成18年度には以下の成果を得た。 (1)Pseudomonas putida由来で広宿主域を示すナフタレン分解プラスミドNAH7の既知接合伝達遺伝子群上流に存在し、機能が未知であった遺伝子群が接合伝達に必須であることを示した。また、本遺伝子群は接合伝達の受容菌株宿主域を規定すると示唆される結果を得た。 (2)pLB1は、α-プロテオバクテリアSphingobium属細菌を受容菌とした土壌試料との直接的接合実験系で、γ-HCH分解に関わるハロアルカンデハロゲナーゼをコードするプラスミドとして取得していた。66kbのpLB1の全塩基配列を決定し、プラスミドの基本的性質に関して新規性が高いことを明示した。pLB1上の2kb断片に複製装置が存在していること、そして、pLB1は他のα-プロテオバクテリア属細菌への自己接合伝達が可能であることを示した。 (3)Acidovorax属細菌支配でPCB分解酵素遺伝子群を含む62kbの染色体領域は、多様なプロテオバクテリア細菌株ゲノムに水平伝播・挿入可能なGIであった。本GIの全塩基配列を決定し、その詳細な全体構造を提示した。広範な受容菌株染色体に接合伝達された本GIの解析から、本GIは挿入部位が必ずしも一定でない接合型トランスポゾンであるとともに、挿入部位にはある程度のコンセンサス配列があることを示した。
|