研究課題
固体バイオマスは石油や天然ガス等と比較してかさ高く、輸送や貯蔵等の取り扱いには不便である。このため、林地残材や廃木材などの多くが未利用のまま廃棄されており、これらの有効利用が望まれる。一方、超臨界流体は新たな化学反応場として注目を集めている。物質は温度と圧力条件により、気体、液体、固体で存在するが、臨界点を超えると超臨界状態となり、気体分子と同等の大きな分子運動エネルギーと液体に匹敵する高い密度を兼ね備えた高活性な流体となる。また、超臨界流体では化学反応の重要なパラメータであるイオン積や誘電率を温度、圧力によって大幅に制御できる。本研究では、超臨界流体のもつ特異性を活用して、林産廃棄物などのバイオマス資源を液体アルコールに可溶化させることで、新規な液体バイオ燃料を創製することによる再資源化技術の開発を試みた。メタノール、エタノール、ブタノール及びオクタノール等のアルコールはバイオマスから製造が可能であり、これらのバイオアルコールにバイオマスを可溶化することで、100%バイオマス起源の液体バイオ燃料の創製が可能となり、これによってかさ高く取り扱いにくい固体バイオマスを、取り扱いやすく貯蔵しやすい液体バイオ燃料に変換することが可能となる。そこで、各種超臨界アルコールの温度、圧力、処理時間と液化物への変換率の相関について検討し、超臨界流体による最も効果的な高効率液化条件を見い出し、アルコール可溶部を液体バイオ燃料として分離回収する方策を検討した。その過程で新規に購入したイオンクロマト分析装置を用い液化物中の糖類の分析を行った。その結果、メタノールなどの低分子量のアルコールに比べ1-オクタノールや1-デカノールのような比較的高分子量のアルコールでは、液化物の糖類はより高分子量であることが判明した。
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